A『消費税が10%に上がるそうですね。』
B『庶民は死ねって言ってるようにしか聞こえへんな』
A『小遣いは非課税ですからね』
B『キャバクラのクレジットカード切ったときの手数料も上がるんかな』
A『もういよいよいけなくなりますね』
社会福祉財源確保や将来世代へ借金を残さない為に、などの名目で消費税がまた上がる訳ですが、取られるばっかり、何となく取られて終わるだけの消費税、そこらへんを今回は掘り下げていきましょう。
1.消費税とは
消費税は、物品購入や役務提供、海外貨物の引き取りなどに対して課税される間接税です。文字通り(物・サービス)の消費に着目して課税をしようというものですね。
間接税とは、消費税を負担するのは消費者(エンドユーザ)、納付するのは物品等提供者という、税負担者と納税義務者が異なる税金を指します。
上表では、実際に消費税を負担しているのはAさんですが、納付しているのはB商店(事業者)です。
消費税は上述の通り物を買ったなどの取引に対して課税されるので大部分課税対象とされますが、中には課税されない取引も存在します。大別して2種類、資産の譲渡等を伴わない為課税されない不課税取引と、社会政策上の理由などで課税されない非課税取引です。
2.課税・非課税・不課税の違い
また、一般に消費税と一言にいいますが、現行の8%は厳密にいうと『消費税及び地方消費税』といって、国税である消費税6.3%と地方消費税1.7%の合算です。
消費税が上がると消費が落ち込むというのは、B商店は左から右へと1円も得をしないのに、消費税があげられる事で消費者であるAさんが増税分だけ余計に商品代を払う事になってしまい、結果Aさんが買ってくれなくなる事を懸念するものです。
不課税取引の代表例は、印紙購入、寄付行為(お布施など含む)など。
非課税取引の代表例は、保険支払、土地譲渡、支払利息などです。
大枠として課税取引と不課税取引があり、課税取引の例外に非課税取引が位置付けられます。
3.原則課税と簡易課税、免税点について
消費税は間接税の為、支払をするのは主に物を売ったりする事業者や企業です。上述の通り、商店主や企業にとって消費税はお客さんである消費者に煙たがられ、消費税計算の手間やコストがかさみ踏んだり蹴ったりです。大企業は体力もあって、そういった負担に耐えらえるのかもしれないですが、地場の商店などにとってこれらは死活問題。なので、国側から2点の配慮がなされています。
(1)免税事業者(消費税の免税点)
具体的に2年前の年間売上高が1,000万円未満の方がこれに該当します。ここにカテゴライズされる方は、消費税を納付する義務がありません、だって免税やし。
論旨は明確ではございませんが、他の免税点の考え方に照らせば
税務署『こんな少額でいちいち申告に来られても・・・。』
納税者『こんな少額でいちいち申告しないといけないの?』
両者のニーズが一致する分岐ラインとして定められているものと考えられます。
(2)簡易課税制度の選択
年間売上高(課税売上高)が1,000万円以上の方は直ちに消費税の申告・納付をしないといけない訳ではありません。1,000万円以上となる法人税・所得税の申告を受けてその年度の中1期後(1年後)に申告をすることになります、いわばこの2年間は準備期間に相当します。
※特定期間といって、一定期間中に一定以上の課税売上高及び一定以上の人件費を計上する方、並びにはこの限りではありません。
例)2018年12月度に課税売上高1,000万円超となった。⇒2020年12月度に消費税を申告・納付。
ここで、売上高5,000万円未満という、消費税課税事業者の中でも比較的少額の取扱者とされる方は、『簡易課税制度』という消費税簡易計算方式を事前申請によって選択する事が出来ます。
原則の消費税の計算は預かった消費税と、支払った消費税の差額を納付するというものです。例)売上高1,000円(仕入800円)の取引
これを売上、仕入、関連費など全ての取引に適用してその金額を算出していきますが、大変です。
年間取引数3,000の事業者は3,000取引について、課税取引かどうかを含め、集計する手間が純増します。
そこで、簡易課税は全ての取引の内、集計範囲を売上だけに絞り、売上高から『みなし仕入率』を控除する事で簡易に消費税が計算出来るようにする計算方式です。
みなし仕入率は業種毎に定められている『この業種の原価率は大体この位』という国が提示した指標で、2業種(例えば製造業と卸売業)を兼業している場合は、その売上毎にみなし仕入率を乗じて、仕入控除額を計算します。
例)製造業(3種)の場合
上の2例では、選択により簡易課税を選択したほうが有利だったというケースです。
簡易課税の特徴としては、以下の通りです。
・選択後2年は原則へ戻す事は出来ない。
・『簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書』を事前に提出しなければならない。
高額な固定資産を購入したり、そもそも原価率がみなし仕入率に比して高かったりなど一概に簡易課税の方が納付額が低くなるわけではなく、どちらが自身にとって有利かを判定するためには、結局消費税の集計は必要になります。
4.消費税で間違えやすい取引(一部)
消費税の申告は年中・期中取引の集計に終始しますが、当該取引が課税取引か否かを判定するのは煩雑です。全部上げ連ねるとキリがないので、ここでは特に間違えられやすい取引について触れていきたいと思います。
(1)土地の譲渡、土地の賃貸借料
土地を売った、買った、または貸した、借りた等にかかる代金は非課税取引に該当します。
消費税はそもそも消費する財・サービス等にかかる税金なので、(税務上少なくとも)土地は使用、経年経過によって、損耗したり、消費(価値が下落)したりしないものという考え方によるものです。
ここで例外とされるのが駐車場代です。時間貸し(コインパーキング)も、定期貸借(月極など)も同様ですが、これらの取引は課税取引とされるので注意が必要です。
(支払代金だけ見ると、さも消費税が含まれていないかのように見えますが、取引相手が消費税を別途または内訳で明示しているかではなく、取引実態で当該取引が課税であるかを判断します。)
(2)利子・利息、配当の支払・受取
銀行はじめ、利息を支払った場合、企業から配当を受け取った場合などの取引は非課税取引に該当します。
これはクレジットカード決済についても関わるもので、①消費者が信販会社に支払う手数料(リボ払い等)は決済にかかる利息に該当し非課税、②加盟店が信販会社から代金を受取る際差し引かれる手数料(加盟店手数料など)は債権譲渡に該当し、これもまた非課税となります。
②について細かいお話ですが、債権譲渡に該当するためというのが非課税の論拠です。上記の例は、加盟店とB商店が直接契約をしているケースですが実際は、信販会社とB商店の間に代理店を挟むケースが多く見受けられます。(下図参照)
この場合、B商店と信販会社代理店の間で収受されるのは『システム利用料』とされていることが多く、この場合、債権譲渡には当たらず消費税も当然課税されていて、このケースの方が多いのが実情です。
その為、クレジットカード決済を導入している事業者の方は明細をしっかりと確認し、当該取引にかかる手数料が課税なのか非課税なのかを確認する必要があります。
5.まとめ
節税のテクニックとして、個人事業が軌道に乗り、消費税が課税されるタイミングで法人を設立し、延べ最大2年間の納税猶予を受けたり、高額な事業用固定資産を購入する際、課税事業者で無いにも関わらず敢えて消費税の納税義務者となる事で消費税の還付を受けたりといった事は可能ですが、いずれも有限のものであり順調に経営拡大をしていく上で、まず初めに発生する新たな税金、それが消費税でしょう。
政府声明によれば来年10月での消費税率8%⇒10%は確実とされ、軽減税率が導入され従前よりただでさえややこしい消費税の集計・計算は益々知識のない方には未知のものに映る事と思います。
消費税は間接税の為、事業主が直接負担する事はないものの、支出することに変わりはないし、集計上のミスは払いすぎ、または過少申告となってしまう事から、将来自計化を目指す方も含め、慣れるまでは税理士等へのアウトソーシングが良いものとなってくるかと思います。
税理士に頼むのも勿体ないので自分で帳簿つけていきたい、そんな方はfreeeがイイと思います。他の会計ソフトをパソコンとすればfreeeはスマホ。直感的に帳簿付けが出来るので、正味、会計知識0からでも導入しやすいです。