所得税が生じる年収103万円の壁の見直しを巡り、自民党は160万円に引き上げる新たな案を出しました。年収制限を設けたことに、国民民主党は新たな壁だと反発しています。
■国民民主「中間層は恩恵を受けない」
去年12月に決裂して以来、中断していた3党協議。自民党の新たな提案に国民民主党は猛反発しています。
国民民主党 古川元久税調会長
「ボールは返ってきましたけど、かなり暴投でね。我々がキャッチできる球じゃない」
自民党案は年収103万円の壁を「最大160万円に引き上げる」という一見かなり踏み込んだものでした。しかし、これには条件が付きました。
古川税調会長
「給与所得200万円相当以下とか、所得制限が入っていまして。税の理屈からするとおかしい。新たな壁を設けるような話」
基礎控除に特例を設け「年収200万円以下」の人に限って、最大160万円まで引き上げるというものです。また、2年間の限定措置として年収200万円~500万円までの人については、133万円に引き上げると説明しています。
自民党 宮沢洋一税調会長
「我々もいろいろな検討をしてきたが、少し方向転換しなければいけないということで決断しました」
大和総研の試算によると、自民党案による減税額は、例えば年収200万円の場合2.4万円。年収300万円や600万円では1万円。年収1000万円で2万円の減税となります。
古川税調会長
「手取りを底上げしなければいけないのは低所得の人だけではなくて、中間層も大事なんです。これだとほとんど中間層は恩恵を受けない」
また、178万円まで壁を引き上げるという国民民主党の案に比べると、減税額自体も少ないことが分かります。
■SNSでは不満の声が殺到「生活が苦しいのは皆同じ」
国民民主党は19日夕方、再び与党との協議に臨みますが、予算協議のタイムリミットは迫っています。
山崎弘喜アナウンサー
「時間がないなか、国民民主党として落としどころのイメージは?」
古川税調会長
「我々は当初から言っている178万円を目指して引き上げる」
自民党が維新に急接近するなか、国民民主党は強気の姿勢を崩しません。
国民民主党 幹部
「維新が25年度予算案に賛成するなら、こちらが無理に(予算案に)賛成する必要はない」
幹部の1人はこう述べ、少なくとも今回の自民党案には反対するとしています。
国民民主党 別の幹部
「与党に反故(ほご)にされたら、国民の判断を仰げばいい」
国民民主の案が通らなかったとしても夏の参院選で「178万円に近づけるため、力を貸してください」と訴えれば、さらなる党勢拡大につながると考えています。
一連の展開を受け、SNSでは「所得制限」「年収200万円以下」などがトレンド入り。「物価高で生活が苦しいのは皆同じ」だという不満の声が殺到しました。
30代
「すごく残念。世の中に全然マッチしていない。取られる分だけ取られて国民はすごくジリ貧」
「どうして(年収に)ライン引くのか私には分からない。何のためのラインなのか分からない。必要なのかも分からない」
(「グッド!モーニング」2025年2月19日放送分より)
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