金価格が上昇し、12日は1グラム1万5719円と過去最高値を更新している。こうした中、世界の平均の10倍の金が取れるという鹿児島県にある「奇跡の金山」を取材した。
■記念金貨、売却すると衝撃価格
金の価格は12日に3日連続で過去最高値を更新。買取専門店では金を売却する人が続出。
女性客
「これは家にあったやつ。(金額は)全然想像がついてなくて」
女性が持ち込んだのはタンスの中に眠っていたという金のネックレス。気になるお値段はなんと8万2000円!さらに…。
男性客
「祖父が買っていたものらしいんですけど、(金が)高騰しているのもあって見てもらえたらと思って」
実家に帰った際に譲り受けた金貨を持ち込んだ男性。実はこの金貨…。
買取大吉銀座中央通り店
中村優斗店長
「これは天皇陛下在位60周年を記念した10万円の金貨になります」
果たして結果は?
中村店長
「こちら…28万円」
男性客
「え!そんなになんですか!?」
10万円の金貨が28万円に。
男性客
「冬場なんで温泉に1泊2日で行けたらいいなと」
■外資企業が続々注目、日本の金山
金相場の高騰が続く中、いま日本の金山が海外から注目を浴びている。
オーストラリアの探鉱会社「キンギンエクスプロレーション」の子会社が北海道にある静狩金山(現在閉山)の試掘権を獲得。
担当者
「静狩は第2次世界大戦前には金を生産していた歴史があり、地表から多数のサンプルを採取し高品位であることから有望なプロジェクトと考える」
さらに、カナダの探査会社「ジャパン・ゴールド社」は石川県にある富来鉱山(現在閉山)の調査に動き出している。
担当者
「我々は長い間、日本に存在する金・銀・銅の可能性を有望視してきた。日本の北海道・本州・九州で金の存在が確認されている地域を網羅している」
■坑道の長さは「東京から軽井沢まで」
九州に「奇跡の金山」と呼ばれる、国内で唯一今も大量に金を産出している山がある。
鹿児島県伊佐市。県の最北端に位置し、熊本県や宮崎県とも接する県境の町。幅210メートル、高さ12メートルの壮大なスケールで“東洋のナイアガラ”と称される曽木の滝。轟音(ごうおん)を響かせながら滝つぼへ豪快に流れ落ちる様は見る人を圧倒する。
空港から車で1時間、田園地帯が広がる場所にあるのは国内で唯一、現在も大量に金を産出している「菱刈鉱山」。今から40年前の1985年に開山。実はこの金山は…。
住友金属鉱山 菱刈鉱山
前田敏明鉱山長
「今年度は(金を)4トン生産する。もう(国内で)一番です」
普段カメラが決して入ることができない菱刈鉱山の中へ。中は光が遮断され、暗くガタガタした長い道が続く。金山の中はアリの巣のように坑道が張り巡らされ、まるで巨大迷路のよう。
坑道の長さはなんと120キロメートル、東京から軽井沢までの長さだ。坑道を進むこと15分、採掘現場に到着。
前田鉱山長
「この部分が鉱脈になります。これが金鉱脈です」
しかし、よく見ると岩の色が黒・白の2色に分かれている。
前田鉱山長
「ここが境界になってるんですよ」
「こういう黒いところに金が入ってるんですね。こういうところとか…」
主に黒い部分に金が多く入っているという。
■金産出量は佐渡金山の3倍
岩から金を採掘するためには、岩盤を崩すところから始まる。ドリルジャンボと呼ばれる重機で穴を開けていき、開けた穴に火薬を詰め込み、爆破して金を取り出す。特別に実際の発破の様子を見せてもらった。
作業員
「発破を打ってもいいですか?大丈夫ですか?また打つ前にカウントダウンしますので」
作業を行っていた車両が次々と出てくる。そして、中に誰もいなくなったのを確認すると…。
作業員
「3 2 1 発破!」
その後は重機で砕かれた大量の金鉱石を積み込み、選別エリアへ運搬。選別エリアではベルトコンベアーを挟む形で10人以上の作業員が手作業で鉱石を選別。
作業員
「鉱石の中身に金が含まれない“ズリ”という石だけがあります。その石を手で選んで、いらないものは別のベルトコンベヤーに落とす。そういう作業をやっています」
すべて同じに見えるが、金の有りなしをどう見分けているのか?
作業員
「(白い部分が入っていない)真っ黒な石だけを取り除く」
見事な手さばきで次々と選別、まさに職人技だ。選別された鉱石は愛媛県の工場で製錬され純度99.9%の純金へ。ここで取れた金は主に電子部品や医療機器、さらに装飾品など幅広く活用されるという。
前田鉱山長
「佐渡金山より3倍の金を産出しているんですけど」
菱刈鉱山のこれまでの金の産出量は、かつて日本を代表する金山だった佐渡金山の3倍以上になるという。
■金山から出た温泉も…
この金山には他では見ることのない驚きの設備が。なんと鉱山の中にWi-Fiルーターがあった。一体なぜなのか?
前田鉱山長
「Wi-Fiを入れることによって“オートマイン”という遠隔で重機を操作することができるようになってます」
Wi-Fiを設置したことで、鉱石の積み下ろしや運搬作業が地上からの遠隔操作で可能に。作業の効率化や安全性の向上にも大きく貢献しているという。
さらに奥に進むと、もくもくと湯気が出ている大きな湯の花があった。
前田鉱山長
「(Q.流れ出ているのは温泉?)温泉です!熱すぎるので手前を触ってみてください」
湧き出ていたのは温泉。しかし金の採掘において温泉水は邪魔な存在だという。
前田鉱山長
「(Q.ここでお湯を抜かないと?)お湯の水位が上がっていって、坑道が水没してしまいます」
設置したポンプで温泉を排出。排出した温泉は近くの旅館などに無償で提供している。実際に金山から出た温泉に入ってみると…。
齋藤寿幸リポーター
「これが鉱山から出ている温泉ですか。金感じますね~。細胞レベルで金を吸収していますから」
神経痛や五十肩、疲労回復、さらには美肌にも効能があるという。旅館の常連客も金山から出た温泉にこのように話す。
常連客
「金でピカピカしちゃう、この年になっても」
さらに温泉宿もしっかり看板で金をアピール。
旅館 早水荘
早水敦子若女将
「金の成分が入っているかもとは言われています。もしかしたら入っているかもしれない」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年2月13日放送分より)
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