与野党の攻防が続いてきた2025年度予算案は、自民・公明両党と日本維新の会の賛成により、衆議院を通過する見通しです。
「年収の壁」についてはどうなったのでしょうか。
国民民主党が「手取りを増やす」と所得制限なしで178万円と主張していた非課税枠の引き上げですが、4日、与党案の「年収に応じて非課税の枠を最大で160万円まで引き上げる」といった法案が衆議院の本会議で通過するということです。
青井実キャスター:
与党と国民民主は合意に至らず、国民民主不在の中で年収の壁がここまで引き上げが決まったわけですが、この決着の形どうですか?
SPキャスター 山口真由さん:
国民民主は、もう次の参院選を見据え始めた感じですよね。反対し続けた方が有利か否かと。
基礎控除といわれる非課税枠について、まず政府・与党が年末に10万円引き上げる案を出しました。
これに国民民主党は「ノー」ということだったため、さらに上乗せされました。
年収200万円以下の人には基礎控除を37万円上乗せした形になり、年収が低い人ほど控除額は大きいということで、それぞれ上乗せする額が設定されました。
ただ、200万円から850万円は「2年間限定」となっています。これはどういうことなのでしょうか。
理由について与党は、「賃金の上昇が物価の上昇に追いつくまでの措置で、とりあえず2年。追いついたらなくなる。財源のめどがつく2年間限定として、さらに継続がいる場合は恒久財源を改めて探す」と説明をしています。
では、与党案が成立して壁が引き上げられたら、手取りはどうなるのでしょうか。
第一生命経済研究所の試算を見ていきます。
年収別で見ていきます。
年収300万円以下を見てみると、国民民主党案では11万円ほど年間の手取りが増えるはずでしたが、与党案では2万円ほどにとどまっています。
年間で5倍から10倍ぐらいの差が国民民主党案と与党案で出てきてしまっています。
青井実キャスター:
ただ、国民民主党案のがいいなと思うけれども、財源をどうするのかを話し合ってきた中で、与党案に決まったということになるわけです。
SPキャスター 山口真由さん:
国民民主はもともとインフレが隠れた増税になるという説明だったんですが、そのあと「手取りを増やす」ってキャッチフレーズにしたあとは、財源を示せずに、正直に言えば完全に骨抜きにされちゃったなという印象ですよね。
そして、「年収別で最大160万円まで引き上げ」という与党案について、4日から代表復帰した国民民主党の玉木代表は「控除額が160万円まで引き上がるのは全体の5%弱である」「これを160万円案というのは不適切だ」などと批判しています。
さらに玉木代表は4日、「1兆2000億円もの減税を実現したことは、我々が頑張らなかったら実現できなかった。取り組みは決して無駄ではなかった」と一定の成果を感じながらも、今後については、「手取りを増やす政策を堂々と訴えて、手取りを増やす夏にしていきたい」ということです。
青井実キャスター:
ずっと「年収の壁」についてお伝えしてきましたけど、2万円って聞くと…。月ではなく年間ですよね?
SPキャスター 山口真由さん:
手取りが増えたという実感にはつながらないかなという気がしてしまいますね。
青井実キャスター:
年間でこの金額で、2年間限定というと…。ただ国民民主としては、このあとの参院選を見据えて、ここはのんでという形なんでしょうか。
SPキャスター 山口真由さん:
参院選で勝って次のラウンドが始まるのかなという感じですね。
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